今年の春、音声入力へのチャレンジを始めました。
事あるごとにブツブツ呟きながら歩き、頭の中にあるキーワードを文字化することで、記事のドラフトを作る活動です。パソコンを開かずとも長文が瞬時にメモできますし、発言しているうちに気持ちが乗って、当初想定していなかった新たなキーワードに出会えることもありました。
しかし、結論はタイトル通り「だめでした」。
便利なアウトプット手段であることは間違いないのですが、いまひとつ相性が合わないようなのです。練習不足の感が否めませんが、「気持ちを声で表現するのが不得手だから」というのもあるのではないかと思います。
人前で喋れないタイプではありませんが、声に出す「言葉」よりも、考えたり書いたりする「文字」のほうが饒舌です。何をするにしても大抵考えごとをしていて、それは多くの場合「書き言葉」で形成されています。頭の中で書き言葉同士を対話させると、気持ちが高揚してくることもしばしば。友人と会話しているときよりも、ボーっと歩きながら脳内で会話しているときのほうが楽しくなっていたりするのです。
そんな楽しい脳内会話を音声入力でメモしようと発声した途端、「萎える」自分に気づきました。
もちろん、気分が乗ることもあります。でも多くの場合は冷めた気持ちになっていき、記事のドラフトにしてはつまらなすぎるというか、テンションが足りていないものができあがる傾向にありました。誤字脱字も多いので結局はキーボードで修正するのですが、脳内の書き言葉でハイテンションになる性質のせいで、本来であれば「修正だけして公開へ」というこのタイミングで気分が乗ってしまうのです。最終的には音声入力をした甲斐ゼロの記事が仕上がっていきました。これなら歩いている時間にラジオのひとつやふたつ、聴いてしまえたな……と、後悔がつのったものです。
……ということで、最近の記事執筆はもっぱら、従来型のキーボード入力オンリーでやっています。考えが頭の中でまとまりきっていないときは、ノートとペンで書き殴って整理してからキーボードを触るようにしています。
▼先日、「手書きでメモを取るのは「指が考えてくれる」から」という記事を書きました
私の場合、記事をまとめるにはキーボードのほうが合っていましたが、音声入力はやはりすばらしい機能であることに違いありません。というのも、自宅で仕事をしたとき、メールの本文を打つのが面倒くさくて音声で対応したのですが、これがなかなかのスピードだったのです。社内の人へのメールなど誤字脱字があってもどうにかなりますので、修正の時間もわずか。
これを会社でもできたら、速いし眠気覚ましにもなるしで業務効率化につながるのになあと思うのですが……羞恥心との戦いを免れることはできません。「まことに申し訳ありません」なんてデスクで発声したら、好奇の目に晒されることになるでしょう。あいつ何をやらかしたんだ、と。ミュートマイクを買うよりほかありません。